畜産

鹿沼市

石澤 久子さん

養鶏業

手間をかけるほどに応えてくれる
「栃木しゃも」の育成は楽しい!

就農のきっかけ

催事場で言えなかった「いらっしゃいませ」

「栃木しゃも」は、栃木県畜産試験場が平成7年に開発した品種で、県内唯一の地鶏です。実家は農家でしたが、平成8年に「栃木しゃも」の生産方法が確立したのを機に、父が加工所を設立、交配・育成もあわせて始めました。

専門学校を卒業してすぐ子宝に恵まれた私は、子育てをしながら、父と共に加工品の販売に。とはいえ、接客や営業の経験はなし。初めて参加した百貨店の催事場では「いらっしゃいませ」が言えなくて、壁を背に父と二人、立ち尽くしていたことを今でも思い出します。

私のチャレンジ

地元の人の「『栃木しゃも』なんて知らない」の言葉に奮起

鹿沼の観光物産協会に加入し、知名度をあげるべく、関東近県の物産展などにも積極的に参加しました。けれど試食してもらうこともままならず。さらに、地元の方に立て続けに「栃木しゃもなんて知らない」と言われたこともあり、「まずは栃木に定着させよう!」と決意。イベントで食べてもらうことを目指しました。そのうちお客さんとの会話も弾むように。「知ってほしい、食べてほしい」という思いが強く、しゃべりすぎて父に怒られたことも(笑)。

10年ほど前からは、研修会などに出かける余裕もできました。すぐに役立つことばかりではありませんでしたが、今につながることも多く、参加して良かったと思います。

農業ってこんなところが面白い

育成は子どもと一緒。手間をかけただけ育ってくれる

「栃木しゃも」は鶏が自由に歩ける“平飼い”で育てます。臆病な生き物なので、できるだけ驚かさず、のびのびと過ごせるように気をつけます。子育てと一緒ですね。栄養豊富な自家配合飼料を与え、手間をかけてあげるほど、それに応えるように育つのがおもしろい。鶏舎に入って元気な姿を見ると「やってきたことは間違いじゃない」と安心します。

鶏舎周辺では、たくさんの生き物や草花を見ることができます。「テントウムシが出てきた」「この花もう咲いたんだ」「風が秋めいてきた」など、外の仕事だからわかる、季節の移ろいを五感で感じるのも素敵なことだと思います。

将来の夢・目標

農家のつながりを広げ 農家中心のイベントを開催したい

観光物産展に行っても、農家さんが参加することはまずありません。もっと積極的に、農家が参加できる場所を作り、横のつながりを広めて強くしたい。まだ漠然としていますが、農家中心の楽しいイベントもやりたいですね。あとは自分で育てたしゃも肉や加工品を使ったレストランも開きたいです。

「とちぎ農業女子プロジェクト」に参加していますが、若い子たちと話すことで情報交換もできるし、自分では思いつかない、さまざまなアイデアももらえます。さらに、彼女たちは「有言実行」。その行動力を見習って、一つひとつ夢を実現させていきたいですね。

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